大阪市立美術館

カザールコレクションと私たちと未来と

会期
2017年11月28日(火)~2018年1月21日(日)
時間
9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(12月25日、1月8日は開館)、年末年始(12/28~1/2)、1月9日(火)
料金

一般300円(団体150円)、高大生200円(団体100円)
※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)
※団体料金は20名以上。

開催概要

カザールコレクションの漆工品200件超を4室にわたって展示いたします。印籠・根付・大名婚礼調度などの優品をご鑑賞ください。昭和56年(1981)以降に収蔵した作品は4000件を超え、当館蔵品の中核を形成しています。私たちは、作品の数々を享受するとともに、コレクションを未来へ継承する大切な役割を担っています。

主な作品

月に兎・太陽に烏蒔絵螺鈿印籠 古満寛哉(花押)銘

江戸-明治時代
本館蔵(カザールコレクション)

作品リスト

会場風景

第1室①

江戸-昭和時代の作品31件を展示。贅をつくした婚礼調度、華やかな日常使いの道具類をご堪能ください。展示室中央の大型ケースでは、宴の一場面を再現しています。一足先にお屠蘇気分に浸ってみるのはいかがでしょうか。

第1室②

手前《九曜紋松橘蒔絵婚礼調度》江戸時代18世紀
奥 扁額《古髹蔵》大正-昭和時代20世紀

《桜紅葉青貝色紙箱》

江戸時代18-19世紀

第2室には、江戸-大正時代の作品28件を展示。手箱と並び、日常空間を飾った調度の代表格「硯箱」を中心とした文具の世界をご覧ください。そこに描かれた季節にちなむ花鳥や風物もお楽しみください。

《秋草鶏蒔絵硯箱》

江戸-明治時代 19世紀

《花丸文素地蒔絵象牙香箪笥》

明治時代 19世紀

第3室には、江戸-明治時代の作品109件を展示。女性の身だしなみに欠かせない櫛や簪、香りを聞いて楽しむ香道具、男性の装飾品である印籠・根付、喫煙具などを紹介します。今回は動物や伝説上の生物を意匠化した作品をおもに選んで展示します。

《根付箪笥》

江戸-明治時代 19世紀

第4室 

手前《堆朱牡丹文盆》明時代 15世紀

第4室には、江戸時代の馬具や遠眼鏡、中国・タイなどの漆工品を含む33件を展示。これらは日本およびアジアの美術を多角的に考えるうえでも、重要なコレクションとなっています。カザール邸の一室にもうけられたコレクション陳列室を撮影した、ガラス乾板も見どころです(初公開)。

《花鳥丸文螺鈿鼻煙壷》 

清時代 19世紀

コレクション展ニュース

U.A. カザール氏とカザールコレクション

実業家であったドイツ系スイス人 U.A. カザール氏( UgoAlfonsoCasal,1888 -1964 )が、 明治末から昭和中頃にかけて蒐集した、日本中国および東南アジアの漆工品およそ4000件からなるコレクションです。カザール氏は、アンドレア・カザール氏の長男としてイタリア・フィレンツェに生まれ、 商業学校へ進学したのち1909 年からフォルカート・ブラザーズ 商社 (Gebrüder Volkart)のインド支社代表を務めました。明治末年(1912)に大阪支社への異動に伴い来日を果たすと、以後神戸の私邸で息を引き取るまでの半世紀にわたり、当時ほとんど顧りみられていなかった江戸後期-明治期にかけての美術品を中心に、膨大な数の作品を蒐集しまた。その一方では、かつての日本人が評価を見誤り海外へと流出・ 散逸し、果ては消失してしまった工芸品も数多くありました。

昭和 16 年(1941)冬、 カザール氏がコレクションをアメリカへ移送しようとした矢先、日米開戦に見舞われ計画は頓挫しました 。戦時中は作品の保管さえ危ぶまれしたが、幸運にも戦火を免れることができました。その後、コレクションの多くは昭和 56 年(1981)年度から都度5回に分けて本館に収蔵され 、「カザールコレクション」と称して館蔵品の中核を形成 するに至っています。

近年、江戸後期-明治期における工芸の人気に伴い 、カザールコレクションにも熱い視線が注がれています。今では国内でも希少となった作例も含め、印籠、根付などの装身具は国内外コレクター垂涎の的であり、あざやかな朱色が目を奪う杯などの飲食器具、豪華な蒔絵をほどこした婚礼調度の一群などは、見ごたえ十分な一大コレクションと言えるでしょう。

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