大阪市立美術館

生誕120年 小野竹喬展

会期
平成21年(2009)11月3日(火・祝)~12月20日(日)
観覧料

一般1,200円(1,000円)、高大生900円(700円)
中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方、大阪市内在住の65歳以上の方は無料〔要証明(原本に限る)〕
※カッコ内は、前売り・20名以上の団体料金

前売り

主な発売場所:   チケットぴあ各店舗/ファミリーマート、サークルK・サンクス(Pコード:688-765)/ampm/ローソン(Lコード:56395)/セブンイレブンなど

展覧会概要

小野竹喬の風景画は、明るく清澄な画面に、光の変化や季節のかすかなうつろいまでもが表わされています。そして一年のうちのある季節、一日のうちのある時間という一端を描きながら、その作品は、自然が絶えず変化し、めぐるという普遍へと私達の思いを至らせます。  1889(明治22)年、現在の岡山県笠岡市に生れた小野竹喬は、14歳で瀬戸内海に面した故里を後にし、京都の竹内栖鳳に師事しました。  75年間の画業を通し、日本の自然の美しさを描き続けた竹喬ですが、<竹橋>の雅号を用いていた初期には西洋絵画への関心が強く見られ、1922(大正10)年から翌年にかけての渡欧を機に、「線」による表現へと方向を変えます。やがて南画への憧れが強まる昭和前期を経て、戦後は『奥の細道句抄絵』に代表される象徴的な表現へと画風は変化しました。そして最晩年に至って、墨彩画への挑戦を試みました。  竹喬の自然を見つめるまなざしや表現の探求は、1979(昭和54)年に89歳で亡くなるまで変わることがありませんでした。小野竹喬生誕120年にあたる本年、あらためてその生涯を代表作100点余りとスケッチにより顧みます。

割引引換券

展覧会構成と主な展示作品

第1章 写実表現と日本画の問題

竹喬の画業前半期における画風の変遷をたどる(1903-1938)

竹喬は1903(明治36)年、京都の竹内栖鳳(1864-1942)に師事しました。当時の栖鳳は写生派の伝統とカミーユ・コロー(1796-1875)の写実表現を融合した作品を描いていました。  栖鳳の革新的な制作姿勢の洗礼を受けた竹喬は、その後ポール・セザンヌ(1839-1906)などの西洋近代絵画と、富岡鉄斎(1837-1924)など南画の影響を受け、大胆な筆触と鮮やかな色彩による作風を展開しました。  その成果の一つが1916(大正5)年の第10回文展特選《島二作》です。しかし翌年の文展では十分な評価が得られず、1918(大正7)年には国画創作協会の結成に参加します。  この時期、目指す写実表現が岩絵具など日本画の素材では十分に達成されないことに悩み、その解決のため1921(大正10)年に渡欧します。その結果、東洋画における線の表現について再認識することとなり、江戸時代の南画を改めて学びます。  そして、池大雅(1723-1776)を思慕して描いた1928(昭和3)年の《冬日帖》によって、西洋というフィルターを通した線描と淡彩による南画風の表現に到達します。

花の山

1909(明治42)年

島二作(早春・冬の丘)

1916(大正5)年 笠岡市立竹喬美術館

波切村

1918(大正7)年

夏の五箇山

1919(大正8)年 笠岡市立竹喬美術館

冬日帖

1928(昭和3)年 京都市美術館

第2章 自然と私との素直な対話

竹喬の画業後半期における画風の深化をさぐる(1939-1979)

竹喬は1939(昭和14年)頃より、それまでの線描と淡彩による南画風の表現を、面的な対象把握と日本画の素材を素直に活かした大和絵的表現へと変えていきます。そして、日本の自然の変化に濃やかな視線を注ぎ、その素朴な移ろいを、自然の息遣いや香りとして捉え、明快にして温かみのある、彩り豊かな画面を構成していきます。  その自然と竹喬との素直な対話は「虚心になると自然は近づいてくる」という言葉に象徴され、次第に独自な世界を切りひらいていきました。対象とする自然は特別な場所ではなく、身近でさりげない水面や野辺、そして自宅の庭越しに見上げた樹木や雲でした。  そのなかでも夕焼けの空を背景とした樹木の姿は、1974(昭和49)年の《樹間の茜》などに描かれ竹喬絵画を代表するモチーフとなっていきます。  さらに晩年の1976(昭和51)年には、その詩情豊かな感性を松尾芭蕉(1644-1694)の自然観と融合させた10点の連作《奥の細道句抄絵》を発表します。この作品により、色彩画家として類例のない清澄な世界を確立することとなります。

秋陽(新冬)

1943(昭和18)年 大阪市立美術館

奥入瀬の渓流

1951(昭和26)年 東京都現代美術館

深雪

1955(昭和30)年

1967(昭和42)年 東京国立近代美術館

樹間の茜

1974(昭和49)年 笠岡市立竹喬美術館

日本の四季・京の灯

1974(昭和49)年 天満屋

奥の細道句抄絵・あかあかと日は難面もあきの風

1976(昭和51)年 京都国立近代美術館

奥の細道句抄絵・まゆはきを俤にして紅粉の花

1976(昭和51)年 京都国立近代美術館

奥の細道句抄絵・暑き日を海にいれたり最上川

1976(昭和51)年 京都国立近代美術館

奥の細道句抄絵・田一枚植ゑて立ち去る柳かな

1976(昭和51)年 京都国立近代美術館

作品リスト

関連イベント

講演会

時間 / いずれも午後1時30分~3時  場所 / 当館1階 講演会室
定員 / 150名 (当日、午後1時より先着順で整理券を配布します。)
※ 聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

11月7日(土)

竹喬がめざした静寂の境地
講師 / 上薗 四郎 氏(笠岡市立竹喬美術館館長)

11月28日(土)

小野竹喬の風景画~写実から象徴へ
講師 / 島田 康寛 氏(美術評論家、立命館大学文学部教授)

コンサート

時間 / 午後1時30分~、午後3時~(いずれも30分程度)
会場 / 当館1階 エントランスホール
※いずれも鑑賞は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

11月14日(土)

Quartett Passoによる弦楽四重奏 演奏/京都市立芸術大学弦楽専攻  Quartett Passo
1st.竹中遥加
2nd.川北英里子
Va.山本ちひろ
Vc.佐藤響

プログラム
W.A.モーツァルト/弦楽セレナーデ第13番KV525ト長調“アイネ・クライネ・ナハトムジーク”より第1・3楽章
M.ラヴェル/弦楽四重奏曲ヘ長調より第1・2楽章
山田耕筰/ この道

12月5日(土)

野島玲菜・春木浩子によるサクソフォン&ハープ プログラム
<ハープソロ> ニュートン/アメイジンググレイス
マックスウェル/引き潮
<デュオ> ドビュッシー/美しき夕暮れ  イベール/間奏曲
賛美歌(伊藤康英編曲)/オー・ホーリーナイト

nojima

12月12日(土)

宮西央子によるソプラノ独奏 プログラム
山田耕筰/からたちの花、赤とんぼ
ラフマニノフ/ヴォカリーズ
ドヴォルザーク/母の教え給いし歌
カッチーニ/アヴェ・マリア
バッハ=グノー/アヴェ・マリア
プッチーニ/私のお父さん
オペラ「ジャンニ・スキッキ」より
グノー/宝石の歌 オペラ「ファウスト」より

miyanishi

展覧会図録の通信販売

本展の図録につきましては、NHKプロモーションにて通信販売を行っています。詳しくは下記リンクよりご確認ください。

小野竹喬展図録通信販売について

巡回先

平成22年1月3日(日)~2月14日(日)  笠岡市立竹喬美術館

平成22年3月2日(火)~4月11日(日)  東京国立近代美術館

TOPICS

5万人目の入場者となり、小坂達也NHK大阪放送局副局長(左)から記念の絵を受け取る 中村正明さん、久枝さん夫妻=2009年12月11日午後2時20分、三村政司撮影

30,000人突破の時の様子(11月27日)

主催

大阪市立美術館、毎日新聞社、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿

協賛

日本写真印刷、毎日ビルディング

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