大阪市立美術館

道教の美術  TAOISM ART

会期
平成21年(2009)9月15日(火)~10月25日(日)
観覧料

一般1,300円(1,100円)、高大生900円(700円)  中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方、大阪市内在住の65歳以上の方は無料〔要証明(原本に限る)〕
※カッコ内は、前売り・20名以上の団体料金

前売り

主な発売場所:   電子チケットぴあ(Pコード:688-731)、ローソンチケット(Lコード:51742)、CNプレイガイド、イープラスほか

展覧会概要

本展は、日本と中国の文化に深く根ざす「知られざる道教の世界」をメインテーマとする、日本ではじめての展覧会です。  道教とは、道(タオ)を説き不老長寿を究極の理想とする中国でうまれた宗教です。老子をその祖として崇め、神仙思想や風水や星宿、易学をはじめとする古代の思想や信仰・神話、そして仏教をも取り込みながら発展し続けてきました。現代も中国の人生観や世界観の根幹をなし、東アジアの思想や文化、芸術のベースとなっています。  道教に関わる美術はその思想と同様に多種多彩です。老子や仙人、北斗七星といった星座を擬人化した図像、閻魔王に代表される道服を身に着けた地獄の裁判官。さらには陰陽道でも用いられた呪符・まじないや占い、そして現在も信仰をあつめる関帝や媽祖などなど。難解でつかみどころがないような道教ですが、今日の日本でもその影響は色濃くみられ、浦島太郎、七夕やお中元、妙見や庚申といった慣れ親しんだ物語や習俗、信仰も実は道教にルーツがあります。  いつの時代にも中国から日本へと無限の広がりをみせ、気づかぬうちに私たちの生活にまで浸透していた道教の世界。本展ではこれまで埋もれていた中国や日本の絵画・書・彫刻・工芸作品を近代にまで時代をひろげて、日本各地から約330件結集させ、わかりやすくご紹介いたします。  是非この機会に「道教の美術」という古くて新しいジャンルにふれ、案外身近にある道教の世界を感じてください。

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展覧会構成

本展覧会は12の章で構成されます。

【1 中国古代の神仙思想】  【2 老子と道教の成立】  【3 道教の信仰と尊像】

まず【1 中国古代の神仙思想】では、道教のバックボーンともいえる不老長寿の希求や仙人の存在といった神仙思想についてご紹介します。  これを踏まえ【2 老子と道教の成立】では、春秋時代の思想家「老子」、その人物像について明らかにします。次いで後漢時代の五斗米道(ごとべいどう)から始まる、教団としての道教の成立過程を、書聖・王羲之(おうぎし) 『黄庭経(こうていきょう)』などの拓本を通じて辿ります。  【3 道教の信仰と尊像】では、道教において、礼拝の対象となる尊像の出現は南北朝時代(5世紀後半)であり、それ以降、彫刻・絵画様々な像が作り続けられることになります。  唐時代になると老子は唐皇帝の祖先と位置付けられて神格化し、道教は国家宗教としての位置を確固たるものにしました。さらに道教経典の体系化も進み、その集成として『道蔵(どうぞう)』が編纂されています。

仙人像[羽人]

青銅鍍金銀 後漢時代 1世紀 大阪市立美術館 【全期間展示】

老子像

牧谿 筆 紙本墨画 南宋時代 13世紀 岡山県立美術館 【展示期間:9月15日~10月4日】

四聖大帝・三官大帝図

絹本着色 明時代 崇偵16年(1643) 京都 六道珍皇寺 【展示期間:9月15日~10月4日】

【4 古代日本と道教】  【5 陰陽道】  【6 地獄と冥界・十王思想】  【7 北斗七星と星宿信仰】 【8 禅宗と道教】

ここから日本と道教の結びつきへとテーマは進みます。  【4 古代日本と道教】では飛鳥時代の呪符(じゅふ)木簡を端緒に、空海の著作や天台の守護神などに注目しています。そして【5 陰陽道】では、安倍晴明(あべのせいめい)に代表される陰陽道に取り入れられた道教的要素を様々な角度から紹介します。  日本へ伝えられた仏教では、既に中国において道教的信仰が取り入れられたり、融合した信仰や尊格が少なくありませんでした。  その代表として、地獄【6 地獄と冥界・十王思想】と星【7 北斗七星と星宿信仰】を取り上げ、日本での独自の展開を含め一堂に展示します。  さらに【8 禅宗と道教】では、禅宗における三教(さんきょう)図や伽藍神(がらんしん)像などを通じ、禅宗が中国で成立した段階での道教との強い結びつきを示します。

【重要文化財】 不動利益縁起

絹本着色 鎌倉~南北朝時代 14世紀 東京国立美術館 【展示期間:9月15日~10月4日】

【国宝】 六道絵[閻魔王庁図]

絹本着色 鎌倉時代 13世紀 滋賀 聖衆来迎寺 【展示期間:9月15日~10月4日】

【重要文化財】 星曼荼羅図

絹本着色 平安時代後期 12世紀 大阪 久米田寺 【展示期間:9月15日~10月4日】

【重要文化財】 妙見菩薩立像

院命 作 木造 鎌倉時代 正安3年(1301) 東京 読売新聞社 【全期間展示】

安倍晴明像

絹本着色 室町時代 14世紀 大阪 阿倍王子神社 【展示期間:9月15日~10月4日】

焔口餓鬼図[面然大士]

絹本着色 明時代 16世紀 千葉 観音教寺 【展示期間:9月15日~10月4日】

【9 仙人/道教の神々と民間信仰】  【10 道教思想のひろがり】

さて再び中国に戻ります。  【9 仙人/道教の神々と民間信仰】では、関羽(かんう)=関帝をはじめとする実在の人物や様々な仙人が道教に取り込まれ、民間信仰と一体となって広がりをみせていく諸相を概観します。こうした神々・仙人たちの図像は、『列仙全伝(れっせんぜんでん)』をはじめとする版本を通じ日本にも多大な影響を及ぼしました。  そして【10 道教思想のひろがり】では、とどまるところを知らない道教のひろがりを実感するために、中国の医学や占術、さらには日本の庚申(こうしん)信仰や七夕・浦島物語などを取り上げます。

【第5部】わかちあう公(こう)

国や政府に対して卑屈になることを嫌った福澤は、勲章なども一切受けず一市民であることを貫きつつ、個人と公の向き合い方を問い続けました。当日の新メディアである「演説」や「新聞」を通した福澤の活動を浮き彫りにします。

【重要文化財】 蝦蟇仙人図

顔輝 筆 絹本着色 元時代 13~14世紀 京都 知恩寺 【展示期間:9月15日~10月4日】

関聖帝君像

揚津 筆 木庵性瑫 題 紙本着色 清時代 17世紀 京都 萬福寺 展示期間:10月6日~10月25日

【重要文化財】青面金剛立像

木造 平安時代後期 11世紀 奈良 東大寺 【全期間展示】

名所江戸百景 市中繁栄七夕祭

歌川広重 紙本木版 江戸時代 安政3年(1850) 神奈川県立歴史博物館 【展示期間:9月15日~10月4日】

【11 近代日本と道教】  【12 拡散する道教のイメージ】

ここからは近代以降をテーマとします。  【11 近代日本と道教】は、その著書『The book of tea』 (茶の本)において「茶は、姿を変えた道教である」と述べた岡倉覚三(おかくらかくぞう) [天心(てんしん)]を中心に、近代美術における道教的画題を集めています。  最後に【12 拡散する道教のイメージ】として、カタカナ表記の「タオイズム」という言葉や思潮と結び付いた、これまでの宗教的・歴史的理解による造形活動とは全く異なる展開について触れます。

浦島図

山本芳翠 油彩 明治26年(1893) 岐阜県美術館 【全期間展示】

関係項―サイレンス

李禹煥 石・鉄 昭和54年(1979)・平成17年(2005) 神奈川県立近代美術館 【全期間展示】

関連イベント

講演会

時間 / いずれも午後1時30分~3時  場所 / 当館1階 講演会室  定員 / 150名 (当日、午後1時より先着順で整理券を配布します。)   ※ 聴講は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

10月3日(土)

道教とはなにか
講師 / 坂出 祥伸 氏(元日本道教学会会長・関西大学名誉教授)

10月10日(土)

道教とその美術
講師 / 齋藤 龍一(当館学芸員)

10月17日(土)

中国の神々と仙人
講師 / 二階堂 善弘 氏(関西大学教授)

道教音楽コンサート

9月20日(日)、21日(月・祝)

台湾より来日した道士による、道教儀礼音楽の特別公演。
時間 / 両日とも午後2時~3時
場所 / 本館1階エントランスホール
※鑑賞は無料ですが、本展観覧券が必要です。

モバイル・プラネタリウム[大阪市立科学館・大阪市立美術館連携事業]

9月22日(火・祝)、23日(水・祝)

移動プラネタリウムを解説付で上演。
時間 / 両日とも [1]午前11時 [2]午後1時 [3]午後2時 (各回40分程度)
定員 / 各回50名(高校生以下優先)
場所 / 本館1階エントランスホール
※参加は無料ですが、本展の観覧券が必要です。

展覧会開催記念シンポジウム

9月26日(土)

主催:「道教の美術」大阪展実行委員会 助成:野村国際文化財団
道教の美術に関する日本初のシンポジウム。
お申込みはこちらのフォームからお申込みいただくか、当館にファックス(06-6771-4876)でお申込みください。
時間 / 午後1時30分~4時30分(午後1時開場)
会場 / 大阪歴史博物館講堂(地下鉄谷町四丁目駅下車)
料金 / 無料
シンポジウムスケジュール(予定)
午後1時30分  開会挨拶
1時35分  趣旨説明
1時55分  講演  (各先生20分)
「中国美術と道教――宋元画を中心に」宮崎 法子(実践女子大学教授)
「星曼荼羅の構成要素と配置に見る道教の影響」松浦 清(大阪工芸大学准教授)
「日本の中世仏画と道教」石川 知彦(当館研究副主幹)
「室町水墨画と道教」福島 恒徳(花園大学教授)
3時15分  休憩
3時30分  座談会(60分)
登壇者=パネリスト各先生
4時30分  閉会挨拶

シンポジウムパンフレットはこちら

展示替えリストはこちら

公式サイト

展覧会図録の通信販売

本展覧会の図録は、大阪読売サービスにて通信販売を実施しています。
電話(06-6364-9094)とホームページでお申し込みができます。
代金(2,500円)+送料が必要になります。
ホームページによるお申し込みはこちら-「道教の美術」図録通信販売

 

巡回先

平成21年7月11日(土)~9月6日(日)
三井記念美術館

平成22年1月23日(土)~3月22日(月・振休)
長崎歴史文化博物館

主催

大阪市立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会、NHK大阪放送局

協賛

近畿日本鉄道、ライオン、清水建設、大日本印刷、  ニッセイ同和損害保険、安藤忠雄文化財団

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